「という訳で始まりました、無限脳内会話のコーナー」
「このコーナーは、『何の脈絡もない会話を延々と繰り広げてたら、最後はどこに着地するんだろう』という疑問を解決するために、実際に何の脈絡もない会話を延々と繰り広げてみようというコーナーです」
「会話は全て筆者の脳内で、文字を打ちながら現在進行形で繰り広げられています。便宜上2者間の会話という体裁を取りますが、話している我々に何らかのキャラクターが付与されることはありません」
「無です、無が喋り続けています」
「ほんとは『お嬢様とナイーブな純朴女子』というコンビで若干百合要素を織り交ぜつつ会話を繰り広げてゆくつもりでしたが、そういったアイデンティティを創出すると会話に何らかの脈絡が生まれてきてしまうので泣く泣く百合要素を消しました」
「我々は現在進行形でしか存在しない、一文字一文字打たれるたびに現れては消えてゆく泡末のような存在だということです」
「出来るだけ面白く、読みやすくするつもりではありますが、なんせコンセプトがアレなのでどうしても冗長な部分が出てくるかと思われます。その場合、半ばの文をすっ飛ばして最後の部分まで読み飛ばして頂いても構いません」
「それでは、スタート」
「とは言っても、何の話題もない状態では会話を開始する事は出来ません」
「今回は、『昨日とあるブラックメタルバンドのライブに行って来たんだけど』という話題でキックオフしようと思います」
「ほぉ、ブラックメタルバンド。ところで、ブラックメタルってそもそも何なんですか?」
「あ、もう会話を始める感じなんですね」
「あ、すみません」
「いえいえ」
「「白々しい……」」
「……ブラックメタルは、要するにヘヴィメタルの一種なんですけど、なんかこう、ミニマルでシャリシャリでギャーギャーしてる感じの音楽です」
「意味が分かりません」
「詳しく知りたい方はググッた方が早いかと」
「それもそうですね」
「で、昨日来たバンドはDeafheavenとEmperorの二バンドなんですけど」
「Emperor……凄い名前ですね」
「和訳すると『天皇』ですからね」
「天皇……まぁ確かにそういう和訳も可能ですけど」
「ちなみに、ボーカルはスキンヘッドのグラサンです」
「統べてそうだなぁ……」
「実際統べてますからね、ブラックメタルという世界を」
「天皇制万歳!」
「天皇といえば、最近代替わってましたよね」
「最近、というか半年以上前ですけどね」
「時代ですねぇ」
「時代、変わってますからねぇ、平成から令和に」
「江戸」
「唐突な江戸」
「失礼、江戸と出てしまいました」
「何か下半身の琴線に触れるものがあったんですかね」
「エモいですねぇ」
「これが、ココロ……」
「ココロ、私の十八番ですよ、カラオケの」
「あぁ……鏡音リンの」
「リンのキンキン声を再現するの好きなんですよね、実際聞くと気持ち悪くてゲボ吐きますけど」
「何故我々は美少女ではないのでしょうか……」
「この世界は平等じゃないっ!」
「そういう表記するとちょっとラノベっぽいですよね」
「何故我々は美少女ヒロインではないのでしょうか……」
「神は死んだ」
「でも髪は死なないで下さい」
「髪が死ぬとヒロインどころの騒ぎではないですね」
「せめて中性的な美貌は持ち続けたい」
「女性に生まれていえば、性別越境ももっと楽だったろうに」
「元々、初期の胎児の頃はみんな女性らしいですからね」
「つまり、男性は女性より生物として特化している」
「特化し過ぎた生命は進化力を失いますからね」
「進化力」
「何の特徴もない生物が一番環境への適応が早いらいしですし」
「つまり、発達障害の人はそれ以外の人間より進化している……?」
「新たな火種を産みかねない言説ですね」
「火種と言えば、この前首里城が燃えましたね」
「燃えましたね」
「悲しかったですね」
「悲しかったですね」
「沖縄、行きたかったですね……」
「行けばいいじゃないですか」
「いや、なんかもう、萎えて」
「でも観光客が減る今の時期に現地にお金を落としておくことも重要ですよ」
「それは他の誰かがやるんじゃないですか」
「……そうですね、今度行きます」
「今度が永遠に来ないパターンじゃないですか」
「あの」
「はい」
「永遠なんてないんですよ」
「……はい」
「現実なんて全部幻でしかないんです。反物質との対消滅で全ての物質がエネルギーに還元されれば、世界は漸く真の姿を取り戻す」
「斬新な言説ですね」
「今考えました」
「まぁ、そういう企画ですもんね」
「胡蝶の夢なんて言葉もありますけど、結局人生自体僕らが見ている束の間の夢に過ぎないんじゃないですかね」
「哲学ですね」
「哲夫の学問ですね」
「哲夫ですか」
「私、北斗の拳が大好きなんですよ」
「へぇ、残念ながら私はイチゴ味の方しか知りませんが」
「あれ、もう一年以上休載なんですけど大丈夫ですかね」
「大丈夫ではないと思いますね」
「確かに体調不良な人は大丈夫ではないですね」
「あぁ……元々、大丈夫って『丈夫な男性』という意味なんでしたっけ」
「つまり、『大丈夫』が口癖な女子は実質男装している……?」
「流石に意味が分かりません」
「意味は広いな大きいな 言ってみたいな世迷言」
「寧ろ世迷言しかない会話なのでは」
「なんと生産性のない」
「生産性で世の中をジャッジしても良いことありませんよ」
「もしや、資本主義をご否定なされている……?」
「否定出来るならこの世界ごと否定したい」
「なら死ねばいいのでは」
「えっ」
「今見えている世界を構成しているのは己の自我なので、己が能動的に死ねば世界を否定することになるのでは」
「なるほど、でも死にたくはないんですよね」
「そうですか」
「なんか、命って軽いですね」
「実体のない概念に重さという概念を当て嵌めるのは不適当なのでは?」
「感覚的な話ですよ、だって人間ってすぐ死ぬじゃないですか」
「そうですね」
「だから不思議なんですよね、頭潰せば容易く死ぬ人間か何故数十年も生きていられるのか」
「頭を潰されないからでは」
「まぁ数十億もいれば頭潰されない人間も居ますよね」
「頭潰される人間の方がよっぽど稀有だと思いますけど」
「そんな世界は実際に間違っている」
「そうですかね」
「権力を持った人間は必ず腐敗する」
「ゾンビですか」
「思考能力がないだけゾンビの方がマシですね」
「ゾンビは頭を潰せば死にますかね」
「まぁ目は既に潰れてると思いますけどね」
「目はなんとなくデローンと垂れさせたくなりますよね」
「カスタードクリームみたいに」
「そういえば、蛆がカスタードクリームみたいなあじがするって聞いた事あるんですけど、本当ですかね」
「本当という事にしておいても何の害もないと思いますけどね」
「多少の害も飲み込んでこその人生じゃないですか」
「じゃあ食べたいんですか?」
「……カレーが食べたいです」
「じゃあ今晩はカレーにしますか」
「わーい」
「この前誰かが言ってたんですけど、カレーの味ってクミンで決まるらしいですね」
「コリアンダーでもウコンでもなく、ですか」
「逆にウコンの味ってします?」
「ウコンの味ってなんでしょうね」
「哲学ですね」
「哲夫の学問ですか?」
「いえ、哲郎の学問です」
「哲郎の学問」
「何故出川哲郎は売れたのか」
「需要があったからでは」
「民衆は哲学を求めていたのか……」
「漸く自らの無知を知ったようですね」
「逆に無知じゃない人間っているんですかね」
「伊沢拓司」
「彼、この前テレビで小学生に負けてましたけど」
「失望しました、水上颯のファンやめます」
「因果律」
「厨二入ったアニヲタが好みそうな概念ですね」
「因果律って字面かっこいいですもんね」
「河合律」
「かわいいですね」
「レディービアード」
「かわいいって何なんでしょうね」
「かわいい(感嘆詞)」
「言霊さん、強く生きて」
「我々が言う言葉じゃなくないですか」
「言霊さん、どうせ死んでるんだしいいでしょ、大人しくフルボッコにされてください」
「凄まじいテノヒラクルーを見た」
「てのひらは返すためにあるんですよ」
「おせんべおせんべやけたかな」
「むしゃむしゃむしゃ まだ焼けない」
「混ざりましたね」
「ヴァンパイアの血が」
「ファンタジーは実現し得ないからこそファンタジーなんですよ」
「私がそうと信じているならそうなんですよ、世界は」
「夢のある話ですね」
「結局人生は僕らが見てる束の間の夢に過ぎませんからね」
「そこに戻りますか」
「永劫回帰です」
「なら同じ失敗を繰り返しても何も悪くないですよね」
「n+1(nには任意の自然数を代入)周目のニーチェ先生が泣きますよ」
「私は君を泣かせたい」
「文尾文先生作のほんのり百合漫画、オススメなので是非読んでみて下さい!」
結論:百合は世界を救う